2020年1月30日木曜日

入試”倍率”の読み方

入試の出願を終えてから発表される「倍率」。 気にする子はとても多いですが、その意味と読み方は正確にとらえられていますか?  


倍率気になりますか?

公立高校への出願が終わった1月末、高校入試が本格的に始まる直前に(高専・私立高入試は2月中旬です)、出願状況が公式発表されます。
この発表から1週間ほどの期間に<出願変更>の機会が用意されているため、多くの中学生は「私の出願先の倍率はどうなっただろう?」と気にし、場合によっては弱気になって「私、志望校下げたほうがいいですか?」という子も現れるわけですが、、、"倍率"の意味するもの、ちゃんとわかっているでしょうか?

入試の倍率とは

「募集定員に対して、出願者の人数が何倍になったか」を"倍率"と呼んでいます。
単純な話、『倍率1.2倍』というのは、定員320名(入試で321位の人は不合格)の枠に320×1.2倍=384名が出願した場合のことをいいます。

『定員320名(うち推薦40名)』という学校に一般入試で350人が出願した場合を考えてみましょう。
40名分は推薦で決まりますから、一般入試では280名の枠を350人で争うことになります。
つまり倍率は、350÷280=1.25倍。
1.0倍や1.1倍の学校もある中だと、「えっ?1.25倍もあるんですか!?」と生徒からは言われます。
受験生からするとかなり怖く映るようですが、実際はどうなんでしょう?
図にすると下のような感じです。
募集定員より多くの受験者がいるので、もちろん不合格になる子が出ることは避けられないわけですが、ですが、不合格者は350人中の下位の70位まで。
割合にすると、下位のたった20%しか不合格にはならないのです。
これは、「一定水準の点数を取らなければ不合格」という検定とはまるで違います。
あくまでも受験者の中での競争ですから、中位くらいの成績が取れているのなら、警戒するまでもなく受かるだろうということになるのです。

参考までに、募集定員320名の場合の倍率と合否ラインとの関係は次の表のようになります。
倍率受験者不合格合否ライン
1.1352人32人下位9%
1.2384人64人下位17%
1.3416人96人下位23%
1.5480人160人下位33%
2.0640人320人下位50%

2020年実施の高校入試の実際の倍率は、こちらのページに掲載されています。
これを見てみると、大半の学校は、倍率1.0~1.2倍以内に収まることが確認できるかと思います。
何度も繰り返しますが、受験者の中位程度に食い込めていれば、それで十分に合格できるわけです。

「去年より倍率があがった!」

とは言え、<出願変更>という制度がありますから、当初想定していた倍率より多少高めの数値が出てきたら「私も下の学校に出願変更したほうがいいのでは・・・」と心配になる生徒も当然現れます。
今度は倍率の上昇が合否にどの程度の影響を与えるのかを見てみましょう。

例えば、1月の道コンで「第1志望300名中150位」と書かれていた、ちょうど中位にいるAさんを想定してみましょう。
Aさんは道コンの結果を見ながら「倍率は昨年並みの1.1倍くらいかなー」と思っていたことにしましょう。
いくら石狩地区中3生の5割近くが受験している道コンとはいえ、その志望校への出願者全員が受験しているわけではない(不参加の大手塾もありますし)ですから、もちろん実際の受験者は道コンのそれよりは増えます。
仮に、倍率が1.25倍まで上がっていたとします。
そう聞くと、なんだかものすごく人数が増え、自分が押し出されてしまうような気になるはずです。
しかし増えると言っても<自分より優秀な子ばかり>が増えるわけではないですから、分布は大雑把に下の図のように推移するはずです。
当初から中位にいたAさんは、この倍率の上昇を怖がる必要はあるでしょうか?ほとんど影響を受けないように感じませんか?
倍率が上がることで、不合格になる受験者の数は当然増えます。
しかし、その影響を受けるのはボーダー付近の限られた層で、中位くらいの位置にいる子にとっては、ほとんど関係はないと考えて良さそうです。

数字に振り回されずに

ところが、実際に倍率の発表を迎えてみると、中~上位の子であっても、そうとう不安げに動くようです。
志望者の中で中~上位にいながら「倍率が上がった!」→「自信がない」→「下位の学校に下げなきゃダメかも・・・」と駆け込み的に学校や塾で慌てて相談をするというのは、おそらくこの辺りの事情にうといのでしょう。
聞く限り、生徒の実力を把握していれば「現時点でこれくらいの位置に居るだろうから、気にするほどのものではない」とあっさり答えられそうなケースも多いように感じるのですが、中には余裕で受かるような位置にいながらも、担任や塾の先生の一言で志望校を下げてしまう子もいるとか。
もちろん、リスク回避のために志望校を下げるというのは戦略のひとつではありますが、そこまで神経質にならずともよさ気な数字ひとつにおびえ、それまで自分の描いていた未来を諦めてしまうというのはどうにもやりきれません。
その後「入試では変更前の本来の志望校でも十分に上位で合格できるだけの点数を取れていた」なんて話を聞くと、結果論ではあっても「もうちょっとまともなアドバイスをあげれる人はいなかったのだろうか」と思わざるを得ません。
本来、判断材料のひとつとして数字が発表されているはずなのに、それに振り回されて判断を誤るというのは、なんとももったいない話だと思います。

お問い合わせ


ご相談いつでも承ります

学習空間シグマゼミ
札幌市北区新川6条14丁目7-22フィオビル
(011) 792-0490
平日: 午後4時~午後10時
  土曜:午後2時~午後7時
sigmaseminar@gmail.com twitter:sigma_seminar skype:sigmaseminar