2022年10月28日金曜日

「どうしても英語が苦手なんです」

シグマゼミへの相談で一番多いのが「英語が苦手」というものです。 実は、数学の相談よりも多いんですよね。

シグマゼミに届く相談には、「今通っている塾より、もっと多くのことを教えて欲しい」というのもありますが、中学2・3年生でやはり多いのは「英語が苦手」「数学が苦手」というもの。
一言で「苦手」と言っても状態は様々で、取れている点数にはもちろん幅があるのですが、その内容といえば、英語で言えば「教科書の単語はある程度覚えたけれど、文法に絡む空所補充や並べ替えの問題は無理」とか、数学で言えば「単純な計算はできるが、文章題や関数の問題はさっぱり」とか。
程度の差はあれども、実はほとんどの子が、同じような部分に苦手意識を持っています。

では、その苦手意識の原因になるものはなにか。
多くの場合は「前の段階をよくわからないままごまかしてきたこと」です。

英語でつまづくのは


例えば、英語の場合、教科書本文の内容とそこに登場する単語は覚えても、文法的な理解をしないままに先に進んでいる子が大半です。
「大半」なんて表現をしていますが、私の見ている限りで言えば、学年の7~8割の子、道コンの偏差値で言えばSS55かもう少し上くらいまではこれに近い状況です。

中1生が嫌う『三単現の-s』や『I/my/me/mineの使い分け』では、「この文の主語は?」「この動詞の直後に来るのって<なにを?>だよね?」みたいな会話が必要になりますが、彼らの多くは、そもそも「"主語"と言われてもなんのことかわからない」「"likeやuseなど動詞の後には目的語として名詞が来る"という原則を知らない」というのが実際のところです。
生徒は「知らないわけではない。試験では正解できた。」と言いますが、それは「なんとなく見覚えのある、それっぽいことを書いたら正解だった。」に近く、少しでも形を変えて出題した時点で破綻する場合は「知らない」と考えた方がいいでしょう。

つまり、説明が説明として入っていかないレベルまで「わからない/知らない」が積まれてきている状況で、それを放置したままに新しい単元に進み「わからない/知らない」を増やしていっているわけです。

当たり前のことですが、日本語と英語とでは、文の構造が語順からしてまるで違います。
だから、「日本語の単語を英語に置き換えればいい」なんてわけはないのですが、でも多くの子は「英単語←→日本語訳の置き換えばかりを練習し」「それを当てはめるようにして訳を作り」「"なんとなくこんな感じ"で答案を完成させ」ます。
つまり、「英語の仕組みを知ろうという考えがそもそもない」から「仕組みがわからないまま、ノーヒントで手当たり次第にパズルをガチャガチャといじる」というような事態に陥っている。
よくわからないままでのことだから、当然自分の答案にも根拠なんてものはなく、「たまには当たることもあるけれど、不正解の方が多い」というのが続き、結果「私は英語は苦手だ」というわけです。

苦手意識を減らすには


生徒は「苦手」と言いますが、実際には「知らないだけ」で、「ちゃんと知れば、できるようになる」という子がほとんどです。

「ほとんど」から漏れるのは「途中で投げてしまう子」の場合が多く、「ちゃんと知れば」の部分を飛ばし、次から次へと問題だけを解こうとするからだと思っています。
よくわからないものをよくわからない状態で数だけこなしたって、正答率なんて上がるわけがないのに。

苦手意識の原因が「知らない」「わからない」からくる正答率の低さなら、まずはその正答率を上げていく方法を考える必要があります。
ではどうするか、できる限り構造が単純な、考える要素が少ないものまで巻き戻してやり直すのが一番です。
そして、少しずつ「それは知ってる」「これはできる」というものを増やしていくわけです。

よく『簡単なものに取り組ませ、褒めることで自信を持たせる』みたいなことを見かけたりしますが、「簡単な問題だけを選ぶ」ということは私はしていません。
前学年の、基本的な内容まで巻き戻すことはしますが、それは「簡単」とは違います。
「簡単なものではなくても、きちんと手順を踏んでいけば、ほとんどの問題は同じ知識と考え方で正しく解けるようになる」と気付く方が重要ですし、実際それで解けるようになるから自信にもなるんです。

実際のシグマゼミの指導では


英語の場合、まずは基本的な語順に馴染む必要があります。
I play soccer every morning.のレベルまで一旦戻し、「まず先頭に主語 → 次に述語動詞 → その後に"なにを?"を表す目的語 → 最後に場所や時間」という、語順に慣れさせます。

こう書くと、ものすごく簡単で当たり前のことで、「誰でもそれくらいは知っている」かのように思うでしょう?
ところが、整序問題なんかをやらせてみると、中3であっても、ここからしてボロボロな子がとても多いのです。
だから、まずはこのレベルのごく基本的なルールから徹底して入れて、当たり前のこととして慣れる必要があります。
そこに、「動詞の時制で"いつのことか"を表現する」だとか「前置詞の後ろには名詞が来て、カタマリを作る」だとかのルールを、少しずつ加えていきます。

単語だとか熟語だとかは、出現頻度が高ければ進めていくうちに少しずつでも覚えていくものです。
まずは、「どの文にも(2年内容でも3年内容でも)、同じような語順のルールが存在している」「カタマリをカタマリとして見れるようにする」
そういった、「英語は、日本語とは違うルールで記述されている」ということをきちんと知り、そのルールに慣れることから始める必要があるのです。

今時期(11月)に入ってくる中学2年生に対して、英語のやり直しをさせる場合、およそ下のような流れになります。
一般動詞・be動詞の区別と基本的な語順(2~3回)
単数・複数、三人称単数の-s(1~2回)

代名詞の使い分け(1~2回)

前置詞や接続詞(1~2回)

一般動詞・be動詞、語順などに十分に慣れたら
疑問詞を含む疑問文(2~3回)

進行形や過去形(2~3回)
時制の使い分けの確認(1~2回)

助動詞can(1回)

There is~(1回)

未来の表現(1~2回)

相談時の状況にもよりますが、学年平均以下の子の場合、1回2時間・週2~3回の指導で、ここまでにだいたい2~3ヶ月を要します。
しかし、ここまでの内容を"きちんと"修めると、2年内容の説明は意外とすんなり進み、中3開始時には平均以上の位置にいるというのがこれまでの手応えでした。
そして重要なのは、こういった基礎的な部分を理詰めで丁寧に身につけていくと、多少構造が複雑になる『不定詞』や『関係代名詞』などでも、きちんと仕組みから考えられるようになるということです。

どの科目であっても、、、


ここまで、英語について書きましたが、数学についても書きたいことはほぼ同じです。
苦手意識を持つ子は、中1最初の四則計算から怪しいですし、文字式だって3xとx³の区別もよくわからないままに書いていたりします。
つまり、「方程式の文章題が苦手」「関数が苦手」以前に文字式の扱いができていないし、中学内容そのもので苦手になる子よりも、「分数の計算ができない」「割合の感覚が掴めていない」という、算数の時点から「わからない」を放置してきた結果という方がおそらく多いのです。


中学生の言う「苦手」というのは、「どうしたって克服できない先天的なもの」ではなく、 「手順さえ守れば、3ヶ月から半年程度でひっくり返せる程度のもの」だと思うのです。
「頑張ってるのに成績が上がらない。どうにかしたい。」と思うのであれば、まずは今していることを一旦置いて、何から手を付ければ良いのかをきちんと見直すことをおすすめします。


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