私大センター利用の難しさ

塾外の高3の方からの進路相談を受けていると、「学校で勧められたので、滑り止めの私大は"センター利用方式"で受けようかとー」とよく言われるので、その妥当性について考えてみます。

毎年1件は受ける高3夏以降のご相談

高校3年になってからの入塾は基本的にお断りしているのですが、それでも相談に来る方が例年1人はいらっしゃいます。
しかもいらっしゃるのは高3の夏休み明けとかで、正直その時期からだと「私の方から提供できるものはほとんどありません。」と言うしかないのですが。
それでも「相談に」という場合は、模試の結果や答案などを持参していただき、それを見せていただいた上で「今から何ができるのか」について話すことになります。

希望と現実との距離

さて、いらっしゃるのは中堅進学校の方なので、進路の希望を聞くと返ってくるのは、<小樽商大・教育大・札幌市立大-看護>あたりの名前です。
そして、だいたいの場合、私立の併願校は<北海・北星・天使>などで「下位の私立大に行くつもりはありませんし、浪人も考えていません。」とおっしゃいます。
まぁ、、、希望としてはそうなんでしょうけど。。。

それで肝心の成績はと見せていただくと、これまただいたいの場合、夏前の進研模試でSS45あるかどうか、センター模試でどの科目も5割取れてない、下手すりゃ3割すらもあやしいという感じなわけです。
先ほど挙げた国公立大の進研模試のB判定とセンター目標得点率は以下の様な感じです。
大学・学部進研SS(B判定)センターボーダー
北大・総合文系6877%
教育大札幌5766%
小樽商科大5866%
札幌市立・看護5468%
※進研模試SSはこちらから引用しています。
※センター試験の目標正答率は、河合塾のこちらを引用しています。

それはもう、「1・2科目であれば別としても、この成績から3ヶ月で<5教科全て>を6~7割台にのせるのはほぼ不可能だと思います。つまり、今おっしゃった国公立はあまりに現実的ではありません。特にうちの教室では、張り付いての指導ができませんので。」と話さざるを得ません。

毎度言っていることですが、「頑張ればなんとかなる」のは、既にここまでの間に十分に頑張ってきて足場固めが完成しつつある人の話であって、今から始めてたったの3ヶ月を頑張ったって、そこには限度があるのです。
なので、私の方からの提案としては「今考えているところは全て一旦リセットして、きちんと志望校を絞った上で、そこに当てた勉強をするということ」になります。
無理を承知で「引っかかればラッキー」みたいなギャンブルをするくらいなら、今まで候補に挙げていなかった私大でも「いくらかマシ」というところに照準を絞ってきちんと要求された問題を解けるようにしきちんと間に合わせようという方が、合格した先のことを考えても建設的でしょう?

「学校で私大のセンター利用はお手軽だと聞きました」

さて、そこで「国立大受験は一旦置いておいて、科目数の少ない私大の一般入試を前提にしてはどうですか?」という提案をすると、結構な割合で上記の言葉が返ってきます。
つまり、「国立大受験は譲るつもりはありません。それに、学校で『滑り止めとして北海/北星/天使あたりを"センター利用で"受けてはどうか』と言われまして。」
言外に含まれるのは、「センターを5教科受験するのは当然諦めない。そんな私大ごときはわざわざ一般受験するようなものではない」ということです。

高3の夏過ぎて、大幅な遅れを抱えたままで、5教科8科目をどれひとつ絞る無く追いかけ続け、"滑り止め"で「北海/北星/天使あたり」を、しかも"センター利用"で、、、ですか、、、

もう一度、河合塾の難易予想を、今度は私大のセンター利用を中心に国公立大と比較してみましょう。
大学・学部教科数センターボーダー
<国公立大>
北大・総合文系5教科77%
教育大札幌5教科66%
小樽商科5教科66%
札幌市立・看護4教科68%
<私立大センター利用>
北海・経済3教科72%
北星・経済3教科66%
天使・看護3教科73%
誰ですか?「センター利用であれば一般より受かりやすい」なんてことを吹き込んだのは。

この時期に駆けこみでくる彼/彼女らの高校では、センター試験の"学年平均"がせいぜい5割~6割です。
学年の中~下位にいる子に「あと3ヶ月で学年トップに近い子たちと並ぶ力をつけろ」なんて、どう考えても現実的ではないでしょう?

国公立に比べ科目数が少なくて済むことは間違いないですが、その科目は国公立と同等以上の正答率を要求されるのです。
それを滑り止めとして受けることができるのは、一般入試を余裕で突破できる上位校の子たちくらいです。
そうでもなければ、何校に出願したところで全滅するのがオチです。

センター利用方式は、出願がお手軽(大学で別途の試験を受けずに済む)ということから、募集定員が少ない中に出願が集中します。
しかし、その結果は上の表を見ての通りで、一般入試よりも数段難しいというのが実際です。
入学者が定員をわるかどうかみたいなボーダーフリーの学校であればいざ知らず、道内でも人気のある~つまり上位大学を受ける子が「滑り止めに」と名前を挙げるような大学が、全国平均にも満たない学力でそんなに簡単に入れるわけないでしょう。。。

夢を追うか現実路線か

以上のような話をしても「学校で『大丈夫、やってみろ』と言われたから」とおっしゃるのですが、どう考えてもふわふわした幻を追っているようにしか私には思えません。
それが実現可能性の見積りを正確にできた上で「それでも」というのであれば「ご自由に」としかいえませんが、どうも本当にその実現の困難さを知らないで「なんとかなるんでしょ」と思っている場合が多いようです。
なんとかなりそうですか?
綿密な計画を立ててそれなりの時間~せめて半年以上をかけてであればなんとかなる可能性があっても、残り3ヶ月でできることは限られていると思いますがー
高3夏を過ぎた時点で力が遠くおよばないのであれば、出願先を絞り込んだ上で一般入試の対策をする方がまだ現実的かと思います。

「より良い選択」なんてものは人それぞれで違うもので、しかもその結果がどう出るかはやってみてからでなくてはわからないものですが、せめて判断材料くらいは正確で現実的なものを手にしておいた方が良いかと思います。
それが高3夏を過ぎてから「ここに来るまで『大丈夫』としか言われておらず、そんな話は初めて聞きました」というのでは、さすがに手を打つにも難しいかと思うのですが。